外国人経済研究所

外国人と経済の関係を解き明かしていきます。

タグ:日本企業

l  コロナショックの中で、短期的に「人手不足」から「人余り」に転じた日本企業は、余剰感が高まった中高年社員を放出し始めていますが、雇用調整助成金の特別措置が切れたら、大量解雇へと移行します。失業問題が最優先課題となる中で排外的なムードが高まれば、構造的な若年層不足という問題には目をつぶり、外国人材の受入れが敵視される危険性もゼロではありません。

l  しかし、各企業がスリム化に走る現状をポジティブに捉えれば、硬直化した人事制度を抜本改革できる機会が訪れていることを意味してもいます。今は厳しく辛い局面ですが、だからこそ、終身雇用や年功序列賃金や新卒一括採用から脱皮することができる最大のチャンスでもあるのです。

l  近年、「ジョブ型雇用」という単語がバズっています。じつは世界的には、日本型雇用よりも「ジョブ型」が標準です。慣れ親しんだ日本型雇用を維持し続けることは最早不可能であり、若年層の外国人材を受け入れる器を整備するためにも「ジョブ型」が必要です。欧米型を真似る必要はありませんが、今回の不況を機に自社なりの「ジョブ型」を模索する価値はありそうです。

【Timely Report】Vol.7652020.12.25号)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

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l  世の中の実態を知ることなく、教科書的に机上の理論ばかり勉強していると、有象無象の現実に対処できなくなることが往々にして起こります。外国人を雇用している250社に対して助言を行っていると公称しているある弁護士は、「外国人雇用においてはジョブ型の雇用を行わなければなりません」と断言していますが、本当に「ジョブ型」の人事を理解しているのか、「ジョブ型」を導入している日本企業に出遭ったことがあるのか心配になります。

l  人に仕事を付けるのが「メンバーシップ型」で、初めに仕事ありきで仕事に人を付けるのが「ジョブ型」。レストランで言えば、接客と調理と掃除というジョブがあり、それぞれ接客係と調理係と掃除係を雇うのがジョブ型。接客係は絶対に調理も掃除もしません。この点、日本企業が採用しているのは「メンバーシップ型」だから、接客係でも調理や掃除を手伝います。本格的な「ジョブ型」を導入している日本企業は、ほとんどありません。

l  入管ですら、その現実を無視できないから、「技術・人文知識・国際業務」の現場研修を認めています。実態を無視した助言は百害あって一利なしです。

【Timely Report】Vol.7392020.10.23より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

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留学ビザは締め上げられる?」も参考になります。

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l  会社数も社員数も増大しないのに、オフィスビルがどんどん建っていきます。住民が急増するわけでもないのに、シェアハウスが増築されています。2017年に東京23区で完成したオフィスビルの床面積は11万坪。2018年中には26万坪が市場に出てきます。さらに2020年には31万坪が供給されるというから凄い。じつは、日本人人口の減少よりも怖いのが日本企業数の減少。1980年代に530万社を超えていた日本企業の数は380万社を割り込み、ピークから▲30%前後。それに対し、日本人人口は20061月(12625万人)のピークから▲1.2%。生産年齢人口もピークから▲12.9%にすぎません。人口減少や一人当たり床面積の減少に鑑みると供給過剰に陥る公算大です。

l  外国人旅行客で活況と見られていたホテル業界も、民泊の大開放で供給過剰が懸念されるとなると、これらの箱物に対する投資や融資は、将来不良債権化するかもしれません。そんな矢先、シェアハウス投資問題が表面化しました。1000人超の投資家が破産しかねない大惨事。人口と企業の減少を軽視して、箱物造りに精を出しているとこうなります。
航空会社, アーキテクチャ, 建物, 市, フライト, ジェット, 飛行機, 空
【Timely Report】Vol.120(2018.3.14)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

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l  「日本企業は今の半分に減るべきだ」と主張するエコノミストがいます。生産年齢人口が2015年から2060年までに3264万人減るから、企業数も現在の約352万社から131204万社に減らすべきというのです。かつて1企業あたりの社員数が25人だったのが、現在16人程度であることを問題視し、最低賃金を引き上げて、零細企業を淘汰し、大手に統合すべきと論じます。

l  彼が社長を務める小西美術工藝社は、文化財の修繕と補修に関する業界最大手で社員80人の規模ですから、同業他社を呑み込む側になります。最低賃金を引き上げて、目障りな競合を排除したいという気持ちは分かりますが、昔と違って転職が当たり前となっているのですから、自社の社員の給料を引き上げて、他社の人材を招き寄せればよいだけのことではないでしょうか。

l  自分が「移民」なのに、「移民」についてはスルーして論じないというのはズルいでしょう。「日本では人口減少に伴い需要自体が減るので、作っても買う人がいなくなります」と指摘しておきながら、移民が増えることによる需要増について語らないのは、エコノミストとして邪道です。
アーキテクチャ, 日本, 京都, パス, 神道, 寺, 赤, 廊下, アーチ
【Timely Report】Vol.136(2018.4.6)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

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