外国人経済研究所

外国人と経済の関係を解き明かしていきます。

タグ:専門学校

l  自民党は、「介護に従事する外国人」について、現行ルールの再検討を始めました。本来であれば、専門学校等に通って資格を目指す「養成校ルート」に関しては、2022年度から介護福祉士の合格を義務付けるのが既定路線だったのですが、関係団体から義務付けの延期を求める声が相次いだことから、「今後も引き続き議論を深めていく」として延期に含みを持たせました。

l  そもそも養成校では日本人学生が激減して死にそうだったところ、外国人留学生で延命しており、2019年度の留学生は2037人。前年度(1142人)のほぼ倍で、全体に占める割合も29.2%に達しました。「介護」の「技能実習」や「特定技能」が不振の中で、人手不足に悩んでいる現場は悲鳴を上げていますから、特別に国家試験を免除して、養成校の卒業生に在留資格を認めている「抜け道」を防がれると、不合格が頻発して大問題になり得ます。

l  「介護」については、本件だけでなく、日本語試験のレベルや特定技能への移行に関しても特別な配慮が施されました。このままだとズルズルと緩和していくことになりますが、果たしてそれでよいのでしょうか。

【Timely Report】Vol.585(2020.2.6号)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

BLOG記事「在留資格:日本語能力は高いほどよい?」も参考になります。

外国人と入管の関係に興味のある方は ➡ 全国外国人雇用協会 へ
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l  「介護」にまで技能実習制度を拡張することについては、「対人サービス」として初めての受入れとなるだけでなく、在留中に国家資格に合格した場合に「介護」の在留資格で在留し続ける措置についても検討されているなど、実質的な「移民」の大々的な受入れが始まるとして批判する声があります。

l  しかし、団塊の世代が後期高齢者になる2025年には、介護職が253万人(2016年9月末149万人)必要になると予測されている中で、介護福祉士の資格が取得できる専門学校や大学の入学者数を見ると、2017年度は定員の45.7%(定数15,891人に対して入学者数は7,258人)と過去最低。日本人だけで介護サービスを維持することは不可能です。

l  要するに、①外国人を受け入れて介護サービスを維持するか、②外国人を排斥して介護サービスを断念するか、という重大な選択肢を迫られているわけなのですが、これは何も「介護」だけの話に止まりません。いずれ、すべての業態において、①外国人を受け入れてサービスを維持するか、②外国人を排斥してサービスを断念するかという決断を迫られることになるでしょう。
手, クローズ, 感情, 友情, 介護, セキュリティ
【Timely Report】Vol.81(2018.1.17)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

BLOG記事「
観光頼みには限界あり!」も参考になります。

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l  福岡日本語学校では、4月と7月に計108人が入学する予定でしたが、新型コロナウイルス感染症の影響で、2人しか来日していません。校長は、「日本語学校は、在籍期間が2年と決まっていますので、来年の春まで学生が入れなかったら在籍者ゼロになって、事実上継続は難しくなる。留学生がいなかったら、閉鎖するしか道はない」と嘆くばかり。

l  関連団体の調査によれば、受け入れ予定の1割以下しか留学生が入学していない日本語学校が7割を占めており、すでに閉校を決めた先もあります。しかし、日本政府による入国解除は、ビジネスマンが優先で、留学生は後回し。

l  こうした状況下、学生の全員が留学生のオリオンIT専門学校は、来年4月入学の募集定員を倍増させ、120人に増やす方針。2年後に日本語学校の卒業生が激減することが明らかな状況下、前倒しで生徒を確保する算段です。学校外のバイトなどでのケガや病気も補償する傷害保険に学校負担で全員が加入できるようにした上で、8万円の入学金を免除します。日本語学校も、専門学校も、そして大学も、生死の境を彷徨うシンドイ局面が続きそうです。

Vol.699(2020.7.22号)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

  BLOG記事「経済政策:ロボ酒場のレモンサワーは高い?」も参考になります。
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l  2019~2020年度に米国で学ぶ留学生は、前年比▲1.8%の1,075,496人。前年より減ったのは14年ぶり。同時期に留学を始めた学生数は267,712人(前年比▲0.6%)で4年連続減。直近ピークの2015~2016年度より11%も少ない水準です。中国と米国の関係悪化、トランプ政権によるビザ発給の厳格化で、米国で学ぶことを考え直す学生が目立っているようです。

l  トランプ政権は、技術者向けの「H1Bビザ」発給の要件を厳格化。このビザの不許可率は2019年度に33%に達し、3年前の3倍以上になったと見られています。また、中国の通信機器大手ファーウェイへの制裁が発動された後、スパイ活動への懸念からハイテク分野を学ぶ中国人の留学は制限されるようになりました。中国の人民解放軍と関係があるとみられる計1000人以上の中国人の留学生や学者のビザも取り消されました。さらに、柔軟に認められてきた留学生の滞在期間も、2年や4年に制限する方針も出されました。

l  日本でも米国同様の政策を進言している人たちは少なくありません。大学や専門学校は、こうした動きにどう対処するのか、今から対策を練るべきです。


【Timely Report】No.7502020.11.18より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

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l  政府が「クールジャパン戦略」を見直し、クールジャパンに関わる外国人を対象に、在留資格の条件緩和を検討することが報じられました。このため、9月中旬にも「クールジャパン戦略会議」が設立される予定です。

l  残念ながら、「吉報」ではありません。そもそも2017年夏、外国人の「クールジャパン人材」に永住権を認める制度を2018年度までに創設するという構想が浮上。2018年夏になると、菅官房長官が「留学生の就職希望者の大部分が日本で働ける制度をつくりたい」と発言し、9月には「クールジャパン戦略」に関連する分野(アニメや漫画、日本料理、ゲーム等)の仕事に就く外国人に「特定活動」の在留資格を与えるという報道が流れました。

l  2018年末の「外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策」では、「平成30年度中にクールジャパン分野等の専門学校等を卒業する留学生が就職できる業務の幅を広げるため、同年度中に所要の措置を講ずる」と明記されましたが、蓋を開けてみれば、「クールジャパンビザ」は、「クールジャパン戦略会議」に申し送りする形で先送り。新設に反対する法務省の粘り勝ちです。

【Timely Report】Vol.534(2019.11.19号)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

BLOG記事「
入管行政:劣後する日本語学校は不要?」も参考になります。

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