外国人経済研究所

外国人と経済の関係を解き明かしていきます。

タグ:安倍政権

l  「観光業の振興」は、「アベノミクス」における数少ない成功例です。高めの数値目標を掲げて、観光ビザを緩和し、クルーズ船を誘致して、地方の観光資源に光を当てるとともに、ホテルの建設ラッシュで関連業界を潤しました。歴代の産業政策の中でも出色の出来栄えですし、この成功がなかったら、安倍政権は窮地に追い込まれていたかもしれません。

l  ただし、本当の試練はこれから。弊害が目立つ京都を筆頭に、「観光公害」や「オーバーツーリズム」という指摘が、全国各地で沸き起こっていますが、これらに対する観光庁の対策は、観光客のマナー対策やポスターによる広報、先進事例の紹介等に限定されており、効果など見込めないお粗末な代物。

l  他の産業であれば、関係者は、商品やサービスを購入する人に限られますが、観光業は異なります。目に見えて恩恵に与る人と比べれば、目に見える被害を受ける人は大多数に及びます。したがって、恩恵に与る人たちが、先手を打って、被害を受ける人たちに配慮した建設的な対策を示していかなければ、海外よりも先鋭的な形で、排外的な運動が巻き起こる危険性があります。

【Timely Report】Vol.487(2019.9.10号)
より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

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l  観光政策が好調だったことに気を良くし、安倍政権は、「IRを全国で3ヵ所設営する」「スノーリゾートを全国10カ所設ける」「高級ホテルを全国50カ所新設する」などの方針を打ち出しています。2030年に訪日外国人客を6000万人にする目標の下で、富裕層の受入れを睨んだ施策です。

l  「地方には国民が気軽に利用できる宿泊施設が足りない」という掛け声の下、かんぽの宿・グリーンピア・国民休暇村等が野放図に展開され、リゾート法に基いて僻地にまでリゾート施設が建設された時代がありました。税金等で支援されたこれらの施設は、結果的に安値販売に傾斜して、地元の宿泊業をガタガタにしただけでなく、杜撰な経営が祟って閉鎖の憂き目に遭いました。

l  「さすがに同じ轍は踏むまい」と信じたいところですが、元々日本は「富裕層向けビジネス」を得意としていません。実際、IRは、外資系のノウハウに頼るところ大。また、大都市や観光地を中心に繰り広げられているホテルの新築ラッシュも、人手不足に悩まされて、フルに稼働できないようですし、オリンピック後には供給過剰すら懸念されます。杞憂であればよいのですが。

【Timely Report】Vol.612(2020.3.16号)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

BLOG記事「経済政策:観光戦略は「箱物行政」と化す?」も参考になります。
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l  マスコミでは、「景気は良い」という論調が未だに主流ですが、安倍政権が求めている「3%の賃上げ」は実現できず、実質賃金は▲0.9%。これでは、誰も「手元にお金が増えた」とは感じませんし、「どんどんお金を使おう」とも思いません。売るほうも買うほうも、価格にはシビアです。最大の要因は「将来への不安」。誰もが自分の生活に手一杯で、企業も将来の業績悪化を懸念しています。収益環境が厳しい大手銀行の労組は今年ベアを要求しない方針です。生涯安泰と言われていた銀行業界がこの有様。若者の約6割が「将来のことを考えると、今、お金を使うこと全般に積極的になれない」と答える中で、各企業も明るい将来の見通しを掲げることができないのです。

l  その象徴がシェアハウス投資問題。被害に遭ったのは、年収800万円以上のサラリーマンで「勝ち組」と見られる人たち。それなのに、「老後の収入があればと思って」「もしもの時に備えようとして」「家族に少しでもお金を残すつもりで」などと将来への不安を口にしています。明るく健全な未来が描けなければ、経済が健全に成長することなどないのです。
ドア, オープン, 戸口, 入り口, 開扉, オープンドア, 自由, 方法, 光
【Timely Report】Vol.133(2018.4.3)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

BLOG記事
老人大国に未来はある?」も参考になります。

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l  安倍政権は、外国人労働者の大幅受入増を決定しました。総じて賛成論が多いものの、「外国人との共生」に関しては、準備不足や懸念を表明する向きが多いのも事実。「呼び寄せる日本側の派遣会社のための制度でしかない」「仲介業者による中間搾取を防ぐ仕組みの整備、日本語学習や医療面の支援なども必要だ」「外国人を一時的な労働者とみなしての受け入れは禍根を残す」などの意見に対して真摯な回答が求められます。

l  弊協会が開催した大講演会でも、阿部知子衆議院議員が「『人』として受け入れるのか、それとも『労働力』として使うのか?」という大きな問題提起をされましたが、「政府の目に映っているのは、人手不足を補うための単なる『労働力』であって『人間』ではない」「外国人を『もの』ではなく『人』として受け入れる姿勢を欠いた、ゆがんだ政策と言わざるを得ません」という批判が湧き起っています。「我々の生活水準を落とさないために外国人労働者を受け入れるのだから、彼らの存在を地域社会が受け入れなければならない」という覚悟を持った上で、制度の詳細を決めることが求められます。
数字, 個人, シルエット, 人間, ハーモニー, 共存, 友情, 大陸, 地球
【Timely Report】Vol.213(2018.7.30)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

BLOG記事「台湾は移民政策に踏み込む!」も参考になります。

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l  安倍政権は「外国人労働者の受入拡大」に踏み切りました。世論は、総じてポジティブですが、攘夷派はいずれ反撃に出ます。

l  現時点の反対論は、「すぐ外国人労働者に頼るのは安易だ」「人口減少対策として外国人に依存するのは問題の先送りだ」「根本的な問題は解決しない」「日本の都合だけで人数を確保できるか」「外国人労働者の増加は限定的」という「問題は解決しない論」と、「移民受入は実質賃金を引き下げる」「移民を入れると企業の生産性が上がらない」「人手不足だからこそ労働生産性が上がる」という「人手不足は受容すべき論」が主流。これらは、雇用現場で生じている諸問題を解決しないので、大勢を占めることはないと思います。

l  しかし、「外国人をモノのように扱う発想は危険だ」「社会を大きく変容させ得る」「違いを乗り越えなければ対立や分断が生じる」という文化論に、「医療タダ乗りという現制度の穴をふさぐことが先決」「移民たちの社会保障費用を負担するのは日本国民だ」という正論が組み合わさると、感情的な排斥論が加わって、かなり強烈な逆風になることもあり得ます。要注意です。
ニユー ・ オーリンズ, 像, 記念碑, 移民, 家族, 出入国管理, アメリカ
【Timely Report】Vol.211(2018.7.26)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

BLOG記事「日本の難民政策をKKKが讃える?」も参考になります。

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