l  スリランカ人留学生の男性が、学費を滞納したことを理由に退学処分とされたことに対し、精神的苦痛を受けたとして日本語学校に慰謝料など254万円を求めて提訴しました。男性は2016年、同校を「母校」とするスリランカの日本語研修学校で「仕事は二つできる」「時給800円で月200時間稼げる」と説明を受け、留学を決意。現地での仲介手数料や1年分の学費60万円等のため150万円を借金で用立て、10月に来日し入校しました。

l  当初は弁当工場と運送会社を掛け持ちし、月20万円を稼ぎ、借金返済等のため10万円を母国に送金するだけでなく、2年目の学費として毎月3万円を支払っていましたが、就労制限を超えて働いていることを入管から指摘されて仕事が減り、4月以降は学費が払えない状態に。学校側は6月、前納分の学費の支払いが滞ったなどとして男性を退学処分にしたという事案です。

l  「偽装留学生」の実態の一端が表面化した典型例です。入管は「偽装難民」を一掃した後は、「偽装留学生」の撲滅に取り組むと見られており、留学生アルバイトに100%頼る経営は、今から考え直しておいた方がよさそうです。

l  2017年に外国人留学生が、日本国内での就職を目的に行った在留資格変更許可申請に対し、入管は、2万2419人を許可しました。2016年より2984人増えて過去最多となりましたが、許可率は2年連続で減少し、80.3%まで落ち込みました。2011年の93.9%と比べると13.6%ポイントの大幅下落。許可率低下の一因は、専門学校の留学生増加。専門学校の場合、学習内容と就職先での職務内容の関連性が重視され、厳しく審査されがちだからです。

l  じつは、学歴別にみると、大学・大学院の留学生卒業数(日本語学校卒業生のうち20%が就職志望と仮定)に対する許可数(前年卒に対する許可を含む)は48.0%で、政府の目標とされている50%超に迫る勢い。一方、専門学校の留学生卒業数に対する許可数は24.4%にすぎません。また、日本語学校卒で母国大学の学歴で申請した場合、専門学校と同じように専攻内容と職務内容の関連性を指摘される事例が少なくありません。

l  「特定技能」の議論も大事ですが、専門学校卒の留学生や母国で大学を卒業し日本語学校に留学した外国人の就職をどう考えるかも重要な課題です。
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【Timely Report】Vol.64(2017.12.11)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

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