外国人経済研究所

外国人と経済の関係を解き明かしていきます。

タグ:国際

  9月29日、大阪入管に収容されていたトルコ人の男性が、複数の職員に押さつけられて肩を骨折したとして賠償を求めていた裁判で、大阪入管が謝罪し、300万円を支払うことで和解が成立しました。極めて異例の出来事です。

l  探ってみると、同月、国連の「恣意的拘禁作業部会」が日本の入管における長期収容について、「日本が国際法の下で負う義務に反していると認める」とし、世界人権宣言と国際法に違反し恣意的であると結論付け、日本政府に対して、必要な措置をとるよう求めたということが背景にあったようです。入管収容分野で、同作業部会が「意見」を出すのは初めてです。

l  国内では強面でなる入管も、さすがにマズイと思ったのか、新しい提案を出してきました。「在留特別許可」については、これまで直接の申請を認めず、退去強制や難民申請の手続における「法務大臣による特別な温情」として位置付けてきましたが、他の手続とは分離して、本人からの「申請制」に改める方向で検討しているようです。一定の要件を満たせば、申請中の就労も認める方針だと言います。単なる緩和ではなく改善に向かうことを願います。

【Timely Report】Vol.732(2020.10.7)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

BLOG記事
専門学校は慎重に選びましょう!」も参考になります。

外国人と経済の関係に興味のある方は ➡ 外国人経済研究所 へ
移民に関する国際情勢を知りたい方は ➡ 移民総研 へ

l  国際金融都市を推進するため、高度金融人材を呼び込むことを目的に、相続税の負担や家事使用人の帯同を緩和するようです。外国人でも、日本での滞在が過去15年以内で通算10年を超えると、海外資産にも相続税(最高税率55%)がかかるため、「Never Die In Japan」などと揶揄されてきました。金融分野であるか否かを問わず、一定の在留資格を持つ人材を対象に、海外資産を課税対象から外す方向で検討されています。

l  悪い話ではありませんが、主要プレーヤーとなるべき日本の銀行や証券を観ると、人員削減、店舗閉鎖、営業時間の短縮、窓口業務の縮小、税公金の収納業務終了など、新規業務に打って出るどころか、現状維持も難しそうです。

l  これは、外国人材の受入全般に当てはまることですが、在留資格等の制度変更が巧く機能するためには、外国人材の受け入れ主体が前向きで創意工夫に溢れており、既存の慣行にこだわることなく、人材の活用に積極的でないと、ウィンウィンにはなりません。その前提を充たした上で、在留資格を実務と実態に合わせる必要があります。国際金融都市はその前提が欠けています。

【Timely Report】Vol.7642020.12.23号)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

BLOG記事「
ブローカーには絶対に近寄るな!」も参考になります。

外国人と入管の関係に興味のある方は ➡ 全国外国人雇用協会 へ
移民に関する国際情勢を知りたい方は ➡ 移民総研 へ

l  外国人の在留管理や司法行政などにAIを活用し、業務改善につなげようと、法務省が専門家から意見を聞く有識者会議を立ち上げたようです。法務省が立ち上げた「新時代の法務省AI推進会議」では、東京大学の特任講師や産業技術総合研究所のセンター長らが、外国人の在留管理などの担当者から業務内容を聞き取り、AIやICTを活用できないか検討するというのです。

l  しかし、入管の審査業務にAIやICTを活用するとすれば、①入管審査が「一定の基準」で行われていること、②「一定の基準」はルール変更などの明確な外的要因がない限り安定していること、③「一定の基準」に関する個々の審査官による理解度の差異が少ないこと、という大前提が必要です。【p5】

l  ところが、現実の入管審査では、審査官に与えられる裁量権が大きすぎて、フリーハンドに近く、個々の審査官による差異が甚だしいのが実情。本当なら、AIやICTを導入する議論を切っ掛けに、審査業務の標準化と審査結果の安定化が図られることを期待したいのですが、実際は陰に陽に現場の反対に遭って頓挫するのが関の山でしょう。取り敢えずは、お手並み拝見です。

Timely Report 】Vol.718(2020.9.4)詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

  BLOG記事「在留資格:外国人材に美容師は無理?」も参考になります。
異論・反論大歓迎ですので、是非、下記のコメント欄に、コメントをお寄せください。

外国人と経済の関係に興味のある方は ➡ 外国人経済研究所 へ http://nfeakeizai.blog.jp/
移民に関する国際情勢を知りたい方は ➡ 移民総研 へ 
http://nfeaimin.blog.jp/

入管行政が、「コロナ特別態勢」から「通常態勢」に戻りつつあります。

 

月間800件前後あった退去強制は、5月には200件を割り込むまでに減少しましたが、7月には358件にまで戻ってきました。同様に毎月800件前後あった出国命令も、4月~6月に250件前後にまで減りましたが、7月には421件にまで増えてきています。

 

10月から「入国」が正常化に向かえば、「出国」も正常化に向かいます。従来の特別措置はなくなると考えて、申請業務に臨むべきです。

 

Immigration Report】Vol.5(2020.9.29号)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report


BLOG記事「海外事情:一斉摘発で親子が離れ離れ?」も参考になります。
異論・反論大歓迎ですので、是非、下記のコメント欄に、コメントをお寄せください。

外国人と経済の関係に興味のある方は ➡ 外国人経済研究所 へ http://nfeakeizai.blog.jp/
移民に関する国際情勢を知りたい方は ➡ 移民総研 へ 
http://nfeaimin.blog.jp/

↑このページのトップヘ