外国人経済研究所

外国人と経済の関係を解き明かしていきます。

タグ:労働時間

l  日本で働く外国人労働者は、年々増大を続け、128万人に達しました。外国人労働者比率はまだ2%程度にすぎませんが、もはや外国人なしには、少なからぬ産業界はまともに稼働できなくなっています。日本経済の強さを象徴していた製造業も、外国人労働者に見放されてしまえば、あっという間に崩壊の道を辿るかもしれません。ところが、日本の「働く国としての魅力」は、61カ国の内、52位にとどまっており、「労働時間が長い」「人事考課が分かりにくい」「昇進が遅い」という問題点が挙げられています。先進国の中でとりわけ給料が良いわけでもなく、アジア諸国との賃金格差は急速に縮まっています。上海よりも平均給料が低いという指摘もあります。

l  隣国の韓国や台湾は外国人の受入に積極的であり、少子高齢化が進む中国が、労働の「輸出国」から「輸入国」に転じたときに、従来のように外国人労働者が来日してくれると思うほうがどうかしています。「外国人を入れるか、入れないか」ではなく、共存することを前提に、「どこまで外国人に依存するのか」「どの程度、受け入れるのか」を議論すべきときが来ています。
女性, 男, グループ, オフィス, チームワーク, アフリカ
【Timely Report】Vol.121(2018.3.15)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

BLOG記事「日本は選ばれるのか?」も参考になります。

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l  安倍政権は、地方の所得水準を引き上げて、「アベノミクス」の果実を全国に波及させるという名目で、最低賃金を全国平均で1000円に引き上げる方針です。山本太郎参議院議員が立ち上げた「れいわ新選組」は「最低賃金1500円」を掲げ、現場を知らない経済学者は「最低賃金2000円」を主張します。

l  自民党が弱い選挙区の最低賃金は低水準ですし、「全国一律1000円」を掲げる共産党のお株を奪う側面もあるので、政治的には正しいのですが、この政策は「物価を上げれば景気は良くなる」「労働時間を短縮すれば生産性は向上する」という二大邪教に続く、「最低賃金を上げれば生産性が上がる」という第三の邪教です。最低賃金の引き上げで失敗した韓国を無視しています。

l  この結果、地域企業や零細企業、個人事業主は、韓国のように苦境に追いやられていくでしょう。経済政策としては、時給が良い先に労働者が転職しやすい環境を整えるだけで十分なのに、時給1000円未満の先を窒息死させる愚かな政策は、後世の経済学者たちから、「韓国の真似をした日本は、韓国よりも愚かだった」と酷評されることでしょう。

【Timely Report】Vol.444(2019.7.9号)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

BLOG記事
アベノミクスには期待できない!」も参考になります。

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l  近年、日本の経済政策は、荒唐無稽なものに成り果てました。「物価を上げれば、景気は良くなる」という宗教が失敗し、「労働時間を短縮すれば、生産性は向上する」という戯言がとんでもない誤りだと気付きつつあるにもかかわらず、今度は、「最低賃金を上げれば、生産性が上がる」という邪教を広めようとする宣教師たちが増えています。最低賃金を引き上げて、経済を悪化させた韓国の失政を見れば明らかなのに、「最低賃金を毎年5%引き上げて、うまくやれば大丈夫」という根拠不明のご託宣を垂れ流しています。

l  宣教師の一人は、自書で「私は文化財の補修を営む会社の社長を務めていますが、文化財業界は小さい企業があまりに多く、ゼネコンは小さい企業同士を過当に競争させ、小さい企業は泣き寝入りを強いられています」と書き、競争相手が多過ぎるから小企業は潰すか統合してしまえ、と主張しています。こんな低俗なアジテーションに乗せられるのは、あまりにも幼稚。OECD諸国では、最低賃金を上げても労働供給への影響はなかったという実証研究も公表されています。経済政策は宗教ではありません。

【Timely Report】Vol.404(2019.5.14号)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

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アベノミクスには期待できない!」も参考になります。

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l  遅ればせながら、あけましておめでとうございます。平素、全国外国人雇用協会の活動にご理解をいただき、感謝しております。今年もよろしくお願い申し上げます。今号は、新春でもございますので、普段のTimely Reportと趣向を変えて、2018年において、日本経済がどう展開するかという点について、報道や統計などの事実を踏まえながら、当協会による予測情報をお届けいたします。皆さまの経営のご参考になれば幸いです。

l  まず、足元の日本経済を確認しますと、201711月時点における完全失業率が2.7%と24年ぶりの低水準になったことや、有効求人倍率が1.56倍と44年ぶりの水準に上昇したこと、さらに加えて、新規求人倍率が2.37倍で過去最高となったことが端的に表しているように、日本国内は完全雇用の状態になっており、経営者や雇用者からみると、「人手不足」は危機的な水域に入っています。

l  こうした中、多くの経営者や雇用主の主たる関心は、「売上拡大」や「新規市場への進出」という攻めの一手ではなく、「円滑な採用」「離職の抑止」「雇用トラブルの回避」という守りの諸施策に向かっており、「安定的で健全な人手の確保」という「生き残る企業であるための不可欠な経営基盤」のディフェンスに費用と時間を割き、雇用問題に日々心を砕かざるを得ない環境に置かれています。

l  ところが、政策当局者らは、この単なる「人手不足」を、「アベノミクスの成果」として自画自賛し、「成功事例」としてのプラス面しか見ようとしていません。しかし、その実態は、「少子高齢化の加速と働き盛り人口の減少」にもたらされた表層的な現象にすぎないのです。政治家としてのポジショントークであれば理解できるとしても、経済政策を立案し実行する立場の政策当局者自身が、これから少なくとも半世紀は続くと見られる日本人の人口構成の推移がもたらしている構造的な「人手不足」を、「自らの政策効果の発現」として高らかに吹聴しているようではお先が知れています。

l  実際に、現実に適用されている経済政策は、「物価が上がれば、景気が良くなる」という、もはや宗教の域に達した思い込みに基づいており、「demand-pull(需要が増大することによる物価上昇)」と「cost-push(コストが増大することによる物価上昇)」の違いを峻別することすらなく、物価上昇を追い求める「インフレ教」に堕落しています。

l  需要が増大し、売上が増大する中で、消費者に値上げが許容される経済の地合いであれば、利益の増大に伴って賃金上昇のコストも吸収されていく筋合いにありますが、デフレ経済に慣れてしまった消費者が値上げに「NO」と言い続ける中で、経営判断としての値上げは極めて困難です。そういう状況下、海外市場に活路を求めることができる大企業はともかくとして、国内市場にしか拠る術がない国内企業においては、賃金上昇のコストアップが企業体力を着実に蝕んでいます。

l  201779月のGDPを見ても、国内市場の大きさを示す「民間最終消費支出(名目・持ち家の帰属家賃を除く)」の前年比は+1.0%にすぎず、実態的には、前年度における落ち込みを取り戻したに過ぎません(201679月前年比▲1.1%)。国内市場が活況を呈していないことは、201579月に73.6兆円だった「民間最終消費支出」が201779月になっても73.6兆円にとどまっているという事実が雄弁に物語っています。念のため、直近1年間の前々年比を示せば、20161012月+0.1 ➡ 201713月+0.1 ➡ 46月+0.8 ➡ 79▲0.0%ですから、一向に増大していないことが確認できます。

l  そんな中で、労働生産性を向上させる議論に至っては、「労働時間を減らせば、労働生産性は向上する」という明らかに誤った小学生レベルの算数を、政策当局者らが恥ずかしげもなく公言しており、「労働時間の削減=労働生産性の向上」という恒等式を呪文のように唱える姿は滑稽でもあり、空恐ろしくもあります。

l  確かに、労働によってもたらされる企業の付加価値(≒粗利益)が、労働時間の投入量にまったく左右されないのであれば、労働投入量を削減すればするほど、労働生産性は上昇します。しかし、その論理は、家に帰ってから、毎日4時間猛勉強した結果、70点だった試験の点数を77点に引き上げた(10UP)子供に対して、「これからは毎日2時間だけ集中して勉強しなさい」と指導すれば、「これまでの半分(4時間➡2時間)の勉強時間だから、10UP2倍の20UPになって、試験結果は84点になるはず」と妄想することと同義です。

l  勉強しなくなれば、その分成績が落ちるだけというのは自明の理ですから、「労働時間の削減=労働生産性の向上」という呪文は、「労働投入量の不足による諸問題の表面化」という呪いになって、いずれ企業や経済のパフォーマンスに跳ね返ってきます。
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【Timely Report】Vol.75(2018.1.9)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

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将来への不安を解消せよ!」も参考になります。

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