外国人経済研究所

外国人と経済の関係を解き明かしていきます。

タグ:入管業務

l  外国人の在留管理や司法行政などにAIを活用し、業務改善につなげようと、法務省が専門家から意見を聞く有識者会議を立ち上げたようです。法務省が立ち上げた「新時代の法務省AI推進会議」では、東京大学の特任講師や産業技術総合研究所のセンター長らが、外国人の在留管理などの担当者から業務内容を聞き取り、AIやICTを活用できないか検討するというのです。

l  しかし、入管の審査業務にAIやICTを活用するとすれば、①入管審査が「一定の基準」で行われていること、②「一定の基準」はルール変更などの明確な外的要因がない限り安定していること、③「一定の基準」に関する個々の審査官による理解度の差異が少ないこと、という大前提が必要です。【p5】

l  ところが、現実の入管審査では、審査官に与えられる裁量権が大きすぎて、フリーハンドに近く、個々の審査官による差異が甚だしいのが実情。本当なら、AIやICTを導入する議論を切っ掛けに、審査業務の標準化と審査結果の安定化が図られることを期待したいのですが、実際は陰に陽に現場の反対に遭って頓挫するのが関の山でしょう。取り敢えずは、お手並み拝見です。

Timely Report 】Vol.718(2020.9.4)詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

  BLOG記事「在留資格:外国人材に美容師は無理?」も参考になります。
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l  収容者に対する非人道的扱いが、全国の入管で蔓延しているという批判が止みません。歴史を振り返ると、戦前は、特高警察を所管する内務省が、警察行政の一環として入国管理を担っていました。敗戦に伴い、占領軍によって内務省が解体され、特高警察も解体されましたが、大日本帝国において朝鮮人らを取り締まっていた官吏たちの多くは、公職追放を免れたため、入管業務の従事者として引き続き雇用されることになりました。

l  そういう状況下、旧特高関係者が少なからぬ比率を占めていたため、在日朝鮮人らに対する強い偏見や差別観を持ち続けたまま、常に公安的な発想で外国人たちに接していたようです。旧大日本帝国の植民地の下にあった在日韓国・朝鮮人、台湾人に対する管理と差別意識が、そのまま、「外国人と日本国民の間に差別があるのは当然」という形で正当化されていきます。そして、悪名高い戦前の特高警察の文化が維持され、「戦前の感覚」が引き継がれて、連綿として組織に温存されてきたのではないか、という指摘もあるのです。

l  入管庁は、この「負の遺産」を払拭するところから始めなければなりません。

【Timely Report】Vol.426(2019.6.13)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

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