外国人経済研究所

外国人と経済の関係を解き明かしていきます。

タグ:偽装留学生

l  2018年に日本の大学や専門学校を卒業した後、就職するために在留資格を変更した外国人留学生は25,942人。過去最多を更新しました。

l  しかし、今後もこの調子で増える可能性は低いと思われます。というのは、達成した「留学生30万人計画」の次を担う文部科学省の政策が公表されない中で、留学ビザの発行が締め付けられており、「偽装留学生退治」が本格化する気配が濃厚だからです。また、「特定技能」の不振を挽回したい入管としては、学歴がない外国人については、「留学」ではなく、「特定技能」で来日してほしいと考えているでしょうから、留学生の総数がこれまでのように大幅増になるという可能性は低いと考えたほうがよいと思われます。

l  加えて、「技術・人文知識・国際業務」に関しては、認定で来日する外国人が急増しているので、「国内は多少締め付けてもよい」という見立てもあるのでしょう。じつは、当該資格に関して、2018年に入管が認定した人数(41,510人)は留学生の1.6倍。ただし、業種を見ると、留学生の就職では目立たない「人材派遣」(5,860人)がかなり多いことが気にかかります。

【Timel
y Report】Vol.576(2020.1.24号)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

BLOG記事「入管法違反:ネオキャリアは逃げ切れるか?」も参考になります。

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l  「コロナ学校休業」で降って湧いた「9月入学論」。賛成派と反対派に分かれて喧々諤々でしたが、結局、現状維持で終わったようです。

l  この問題は、①学校教育に何を求めるか、②学校制度は①に関して機能しているか、③「9月入学」は②の対策として効果的か、という三段論法で解くべきです。①は「社会適用能力」の涵養。「先生が大変」「対応が難しい」という反対論は、学校制度の「社会適用能力」が劣っていることを自白しているだけなので説得性に欠けます。②は、大学が著しく機能していないので改革すべき。③については、「欧米が9月入学だから」とか「海外の留学生が日本に留学しやすくなる」という賛成派が目立ちますが、「私は、日本の〇〇大学の〇〇教授に師事したい」などと語る留学生はいません。日本留学の魅力は「大学ではなく、日本での就労や生活」という現実を直視すべきです。

l  ジャーナリストたちは「偽装留学生」を批判しますが、本当に批判すべきなのはクオリティの低い「日本の大学」。なぜ「日本の大学」に魅力がないのかという点を改善しなければ、「9月入学」など議論する意味がありません。

【Timely Report】Vol.683(2020.6.30号)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

  BLOG記事「経済政策:ロボ酒場のレモンサワーは高い?」も参考になります。
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l  スリランカ人留学生の男性が、学費を滞納したことを理由に退学処分とされたことに対し、精神的苦痛を受けたとして日本語学校に慰謝料など254万円を求めて提訴しました。男性は2016年、同校を「母校」とするスリランカの日本語研修学校で「仕事は二つできる」「時給800円で月200時間稼げる」と説明を受け、留学を決意。現地での仲介手数料や1年分の学費60万円等のため150万円を借金で用立て、10月に来日し入校しました。

l  当初は弁当工場と運送会社を掛け持ちし、月20万円を稼ぎ、借金返済等のため10万円を母国に送金するだけでなく、2年目の学費として毎月3万円を支払っていましたが、就労制限を超えて働いていることを入管から指摘されて仕事が減り、4月以降は学費が払えない状態に。学校側は6月、前納分の学費の支払いが滞ったなどとして男性を退学処分にしたという事案です。

l  「偽装留学生」の実態の一端が表面化した典型例です。入管は「偽装難民」を一掃した後は、「偽装留学生」の撲滅に取り組むと見られており、留学生アルバイトに100%頼る経営は、今から考え直しておいた方がよさそうです。

l  2017年に外国人留学生が、日本国内での就職を目的に行った在留資格変更許可申請に対し、入管は、2万2419人を許可しました。2016年より2984人増えて過去最多となりましたが、許可率は2年連続で減少し、80.3%まで落ち込みました。2011年の93.9%と比べると13.6%ポイントの大幅下落。許可率低下の一因は、専門学校の留学生増加。専門学校の場合、学習内容と就職先での職務内容の関連性が重視され、厳しく審査されがちだからです。

l  じつは、学歴別にみると、大学・大学院の留学生卒業数(日本語学校卒業生のうち20%が就職志望と仮定)に対する許可数(前年卒に対する許可を含む)は48.0%で、政府の目標とされている50%超に迫る勢い。一方、専門学校の留学生卒業数に対する許可数は24.4%にすぎません。また、日本語学校卒で母国大学の学歴で申請した場合、専門学校と同じように専攻内容と職務内容の関連性を指摘される事例が少なくありません。

l  「特定技能」の議論も大事ですが、専門学校卒の留学生や母国で大学を卒業し日本語学校に留学した外国人の就職をどう考えるかも重要な課題です。
人間, オブザーバー, 展, フォトモンタージュ, 顔, フォト アルバム
【Timely Report】Vol.64(2017.12.11)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

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l  「偽装留学生」という言葉が流布しています。人気ドラマでも取り上げられ、「みんな困っています。みんなです。生徒の8割は留学生という名の出稼ぎ、偽装留学生です」という台詞が台本に載るようになりました。

l  「偽装留学生」という言葉に相応しい留学生がいることは否定しませんが、証拠を示すことなく、「留学生≒偽装留学生=出稼ぎ」と決めつけて報じる姿勢はいかがなものかと感じます。この類の記事に疑問を感じたのは、就活中の外国人に「残業」について尋ねたら、「たくさんしたい」という回答が15%前後に過ぎなかったという事実に出遭ってからでした。無論、母体集団の偏りという問題はあるかもしれませんが、傾向は半年以上変わりません。

l  母国への仕送りに関するアンケートを実施すると、母国に仕送りをしている者は4割弱にすぎず、10万円以上の送金は10~15%に過ぎないこともわかりました。逆に母国から仕送りを受けている外国人は4割程度もおり、中には、母国から仕送りをもらいながら母国に仕送りしている外国人も一定数います。偽装留学生は、せいぜい2~3割なのではないかという感じがします。

【Timely Report】Vol.712(2020.8.21)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report


BLOG記事
偽造在留カードが1500枚!」も参考になります。

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l  11月6日、旭川日本語学校に通うベトナム人留学生2人にアルバイト先を斡旋し、長時間労働させたとして、入管法違反(不法就労助長)の疑いで同校を経営する「平成ハイヤー」の会長らが逮捕されました。共謀して今年4月から6月にかけて旭川の弁当工場と苫小牧の産業廃棄物処理場のアルバイト先を仲介し、法定労働時間を超えて働かせたという容疑です。学校側は「課外活動」や「日本語の勉強の場」と称して、留学生にアルバイトを斡旋。関係の深い先で働かせ、給与は日本語学校の講師が校内で直接現金で手渡し、一部を授業料として徴収していたと言いますから、処罰されて当然でしょう。

l  同様に、「偽装留学生」と「偽装留学生」に仕事を斡旋するブローカーは、摘発されていきます。すでに、「留学ビザ」は厳格化されており、週28時間の厳守と相俟って、「留学生という労働力」は急激に細っています。

l  マスコミは「偽装留学生=悪」として糾弾してきましたが、その結果、強制送還されたり、来日すらできない留学生たちが激増。客観的に見ると、彼らの正義は、数多くの留学生を不幸にしてしまっただけなのかも。

【Timely Report】Vol.582(2020.2.3号)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

BLOG記事「入管政策:「偽装留学生」叩きは成功する?」も参考になります。

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