外国人経済研究所

外国人と経済の関係を解き明かしていきます。

タグ:人手不足

l  コロナショックの中で、短期的に「人手不足」から「人余り」に転じた日本企業は、余剰感が高まった中高年社員を放出し始めていますが、雇用調整助成金の特別措置が切れたら、大量解雇へと移行します。失業問題が最優先課題となる中で排外的なムードが高まれば、構造的な若年層不足という問題には目をつぶり、外国人材の受入れが敵視される危険性もゼロではありません。

l  しかし、各企業がスリム化に走る現状をポジティブに捉えれば、硬直化した人事制度を抜本改革できる機会が訪れていることを意味してもいます。今は厳しく辛い局面ですが、だからこそ、終身雇用や年功序列賃金や新卒一括採用から脱皮することができる最大のチャンスでもあるのです。

l  近年、「ジョブ型雇用」という単語がバズっています。じつは世界的には、日本型雇用よりも「ジョブ型」が標準です。慣れ親しんだ日本型雇用を維持し続けることは最早不可能であり、若年層の外国人材を受け入れる器を整備するためにも「ジョブ型」が必要です。欧米型を真似る必要はありませんが、今回の不況を機に自社なりの「ジョブ型」を模索する価値はありそうです。

【Timely Report】Vol.7652020.12.25号)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

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l  2025年問題」と呼ばれる難問があります。2025年は人口の多い「団塊の世代」が75歳以上の後期高齢者になる年。後期高齢者が増えれば、それに比例して要介護者も増えます。各地方公共団体も人材確保に動き始めました。

l  介護事業者の人手不足は本当に深刻。特別養護老人ホームは、割安なので入所希望者が多いのですが、所定の職員数が確保できないため、受け入れられないというケースが頻発しています。全産業の平均月給が304,300円なのに、訪問介護員の平均月給は198,486円であり、経済評論家は「人が集まらないのであれば、賃金を上げるべき」と断言し、経営者を厳しく批判します。

l  しかし、日本における介護ビジネスは、「介護保険」という枠組の中で成り立つ半官営事業。国が商品の中身と価格を決めている以上、民間企業としての知恵の絞りどころはコストカットのみ。賃金を上げさせたいのなら、介護保険料を引き上げ、保険料の支払年齢を40歳から30歳に引き下げた上で、国が支払う介護価格を引き上げるしかありません。そういう点に触れないで、すべて民間企業の責任に擦り付けるというのは卑怯な論法です。

【Timely Report】Vol.372(2019.3.21)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

BLOG記事「アベノミクスには期待できない!」も参考になります。

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l  中小企業の7割以上が「人手不足を感じている」と回答。そのうち5割以上は、人手不足の度合いが「深刻」「かなり深刻」と答えています。その中で、2019年上半期の「人手不足」関連倒産は191件となり、過去最高を記録しました。人手確保が困難で経営難に陥った「求人難」型は47件で前年比2.4倍。また、「従業員退職」型も20件で前年比2倍になりました。2019年を通しても過去最多を塗り替える可能性があります。

l  マイナビによれば、企業が新卒採用で投じるコストは一人当たり50万円。中小企業は、こんな高額な採用活動費を払えないので、大企業の雇用者数が増加する半面、中小企業の従業員はどんどん減少しています。ここ20年で従業員数500人以上の規模の企業では従業員数が約382万人増加している一方、29人以下の規模の企業は従業員数が約215万人減少しているのです。

l  建設業界では、業績良好でも身売りする事例があるほか、「年中休業日なし」が常識だった旅館でも「休業日」を設けたり、24時間営業が売りのコンビニも時短を検討し始めました。人手不足が致命傷になる時代が到来しました。

【Timely Report】Vol.501(2019.10.2号)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

BLOG記事「アベノミクスは増税で絶命する!」も参考になります。


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l  201946月期の実質GDPは、内閣府が官邸と財務省の意向を忖度して、年率1.8%増となりましたが、実態と乖離している感があります。帝国データバンクの景気動向調査結果(7月)では、景気動向指数が8カ月連続で悪化。共同通信社のアンケートでも、国内景気が拡大していると答えた企業は23%(昨夏78%)にとどまり、「緩やかに拡大」と答えた企業が23%(同77%)で、「拡大」と答えた企業は皆無に(同1%)。景気ウオッチャー調査(7月)でも3カ月連続の悪化で、33カ月ぶりの低水準に沈みました。

l  足元では、人手不足倒産が急増。7月の全国企業倒産件数は、2年2カ月ぶりに800件を超えました。年間でみると、過去最悪を記録しそうです。そんな中、大企業では中高年のリストラが加速しており、早くも昨年の2倍に到達。「勝ち組」とみられているファーストリテイリングの柳井会長は、「平成の30年間は経済敗戦だ」と嘆き、著名投資家のジム・ロジャーズは、かつてアジアで最も裕福な国だったビルマを例に引いて、「日本はアジア最貧国に転落するかもしれない」と警告。楽観は禁物です。

【Timely Report】より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

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l  経営の現場を知らない経済学者の中には、「人手不足なのに賃金が上がらないのはなぜだ?」と悩んでいる人々が少なくありません。そのため、「ただでさえ賃金が上がっていないのに、こんな状況下で外国人労働者を入れると、賃金が上がらなくなってしまう」と騒ぎ始めた輩もいます。

l  しかし、就業者1人当たりのGDPを眺めると、2000年度820万円➡2005年度824万円➡2010年度794万円➡2016年度830万円➡2017年度820万円ですから、労働生産性が上がっていないという事実を簡単に確認できます。リーマンショック後の回復期で見ても、年率換算するとたかだか年+0.4%程度の向上。2000年からの17年間で見ると、生産性向上はほぼゼロです。

l  労働生産性が大幅に向上すれば、賃金も上がるでしょうが、生産性が上がらない社員から「給料を上げろ」と言われて、素直に昇給させる社長はいません。生産性が上がらなければ、売上高や生産を増やすためには増員が必要なので人手不足につながります。怠けている「社内失業者」が3割いるという見方もありますが、まずは、労働生産性を上げないとお話にならないのです。
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【Timely Report】Vol.292(2018.11.19)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

BLOG記事
過疎の村は生産性が上がる?」も参考になります。

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