外国人経済研究所

外国人と経済の関係を解き明かしていきます。

タグ:スペイン

l  23日、日産自動車は、欧州向けのSUVの次期モデルの生産について、英国工場から九州工場に切り替えると発表しました。英国のEU離脱が迫る中、EU向けの乗用車輸出に10%の関税がかかる懸念もあり、合理的な判断という気もしますが、九州工場で生産して輸出するというのは少し奇妙です。

l  英国工場では数百人の雇用増が見込まれていたので、九州工場でもその程度の雇用増が必要。ところが日産は、日本国内で非正社員の確保が困難化したため、技能実習生を200人以上使っており、昨年6月にその不正使用が発覚したばかり。増員確保は容易ではありません。一方、EUに拠点のある日産スペインは、年間20万台の生産能力を持ちながら、30%~40%しか稼働しておらず、英国工場の仕事が回ってくるのを心待ちにしています。わざわざ日本で生産してEUに輸出する意味が不明なのです。

l  しかし、ルノーとの権力闘争の中、通産省にべったりくっついて「日本人企業」としての日産を復活させたいという思惑ならば、ベストの選択。ただ、政治と保身によって決定された経営戦略が最善であった試しはありません。
速度, 車, 車両, ドライブ, 自動車, 車の運転, 高速, 速度計
【Timely Report】Vol.348(2019.2.15)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

BLOG記事
ゴーン逮捕は外国人排斥か?」も参考になります。

外国人と入管の関係に興味のある方は ➡ 全国外国人雇用協会 へ
移民に関する国際情勢を知りたい方は ➡ 移民総研 へ

l  米国ワシントン大学に所属する研究所が、「世界の人口は2064年に約97億人でピークを付け、21世紀末までに約88億人まで減少する」という予測を公表しました。1.3億人近い日本の人口は、2100年には5300万人を割り込むとのご託宣なのですが、日本だけでなく、イタリア、スペイン、ポルトガル、タイ、韓国など23か国の人口は50%以上減少し、中国でさえ半減近くになるそうです。その一方、米国やオーストラリア、カナダ、英国などは、移民政策により人口減少を補い、ダメージは比較的軽いと予測されています。

l  そんな中、2020年元旦時点の日本の人口は、日本人住民が初めて50万人超の減少を記録しました。これは、鳥取県の人口(56万人)に相当する規模。この状況に対して、外国人住民は20万人増加し、不足している若い世代を補っています。この結果、外国人住民の割合は2.25%に上昇しました。

l  世界が人口減に向かうのなら、移民政策は、国家の命運を握る重要度を増していきます。安倍政権は、新型コロナウイルス対策ごときで右往左往していますが、人口政策という「国家百年の計」を巧みに遂行できるでしょうか。

【Timely Report】Vol.467(2019.8.13号)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

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ブローカーには絶対に近寄るな!」も参考になります。

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l  ヨーロッパが揺れています。6月10日に、地中海を渡り欧州に向かう難民ら630人を乗せた船の入港をイタリアのサルビーニ副首相が拒否。11日にスペインが人道的な見地から同国への入港を認めると、サルビーニ氏は「イタリアの勝利」と勝ち誇りました。これに対し、仏のマクロン大統領が12日に「イタリアは責任感が欠如している」と批判すると、イタリアは13日に予定されていた経済財政相の訪仏を取りやめ、15日に予定されていた仏伊首脳会談の中止も示唆。マクロン大統領の譲歩により、首脳会談は予定通り開催されましたが、難民問題の深刻さを物語る出来事でした。

l  仏伊首脳会談では、アフリカに難民手続き施設を設置するように呼び掛けたほか、EU規則(難民が域内で最初に到着した国で保護申請する)の変更を求めることになりましたが、ハンガリーやオーストリアなどの「反移民陣営」にイタリアも加わったことで、EUの舵取りはかなり困難になりました。

l  日本でも、反移民に傾くEUを引き合いに出して、反移民派がこれから反撃に転じます。安倍政権が打ち出した「特定技能」はどうなるでしょうか。
アーキテクチャ, トレビの泉, アート, バロック, 泉, イタリア
【Timely Report】Vol.188(2018.6.22)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

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