外国人経済研究所

外国人と経済の関係を解き明かしていきます。

カテゴリ:日本経済 > 国力・魅力

l  マスコミでは、未だに「ビザを緩めたら外国人がどんどんやってくる」という前提で議論している識者がいて面食らうときがあります。確かに、今のところ、東南アジアの労働者にとって、日本は「稼げる国」の代表格。2015年時点では、日本の平均月給は33万円で、中国の3倍以上、ベトナムとフィリピンの約13倍でした。しかし、その格差は縮小する一方であり、中国・韓国・台湾は「人材輸入」の競合国に台頭してきています。

l  建設業では、外国人なしでは現場が回らないにもかかわらず、待遇が改善されません。ほとんど休めないのに技能実習生の平均月収は17万円未満。かつて大多数を占めていた中国人たちは、日本を選ばなくなりました。介護業界でも、月給14万円に過ぎない例があるなど、「日本より中国のほうが待遇がいい」という声が出ています。「安くこき使って搾取して期限が来たら追い返す国」と「人として受け入れて共生を目指す国」のどちらが選ばれるかは明白。人道上という話ではなく、日本社会や日本企業が外国人の「労働力」を必要とするのであれば、「人」として受け入れるしか道はないのです。
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【Timely Report】Vol.246(2018.9.13)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

外国人と入管の関係に興味のある方は ➡ 全国外国人雇用協会 へ
移民に関する国際情勢を知りたい方は ➡ 移民総研 へ

l  移民に関する議論を聞いていると、①日本はアジアにおいて最も「魅力的な国」である、②ドアを開ければ優秀な外国人が大勢来日する、③来日した外国人は日本での永住を望む、という「暗黙の前提」を感じるときがあります。日本が「出稼ぎ先」として、ある程度魅力的なことは否定しませんが、中国や韓国や台湾と比べて圧倒的に優位かと言えば疑問です。また、「出稼ぎ先」ではなく、「永住先」として日本を選ぶ外国人は、まだまだ少数派でしょう。

l  現場では、「本当の高度人材は外国から日本には集まらない。球速160キロのストレートを持つ投手は日本プロ野球には来ない」「世界のハイポテンシャルパーソンが日本に来ない理由は、日本企業や日本社会に魅力がないから」という指摘があります。米国やカナダやオーストラリアが、世界中から移民を惹きつけるのは、経済的な豊かさに加え、社会が外国人に対して寛容であり、労働市場がオープンだからです。日本は、社会の豊かさ、寛容さ、オープン度合いという点で、これらの国に劣後しています。だから、移民問題などこれまで発生しなかったのです。その現実を直視すべきです。

【Timely Report】Vol.471(2019.8.19号)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

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l  マスコミでは、未だに「ビザを緩めたら外国人がどんどんやってくる」という前提で議論している識者がいて面食らうときがあります。確かに、今のところ、東南アジアの労働者にとって、日本は「稼げる国」の代表格。2015年時点では、日本の平均月給は33万円で、中国の3倍以上、ベトナムとフィリピンの約13倍でした。しかし、その格差は縮小する一方であり、中国・韓国・台湾は「人材輸入」の競合国に台頭してきています。

l  建設業では、外国人なしでは現場が回らないにもかかわらず、待遇が改善されません。ほとんど休めないのに技能実習生の平均月収は17万円未満。かつて大多数を占めていた中国人たちは、日本を選ばなくなりました。介護業界でも、月給14万円に過ぎない例があるなど、「日本より中国のほうが待遇がいい」という声が出ています。「安くこき使って搾取して期限が来たら追い返す国」と「人として受け入れて共生を目指す国」のどちらが選ばれるかは明白。人道上という話ではなく、日本社会や日本企業が外国人の「労働力」を必要とするのであれば、「人」として受け入れるしか道はないのです。
歩行者, 人, 忙しい, 運動, 非常に忙しい, 大阪, 市, 日本, 通り
【Timely Report】Vol.246(2018.9.13)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

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l  自治体に対する共同通信のアンケートによれば、外国人の適正処遇に関して懸念を表明する向きが47%と半数近くを占め、適正処遇を「確保できる」と「どちらかといえばできる」の計20%を大きく上回っています。生活支援については、「多くの企業は外国人受け入れのノウハウがない」として、国や県などによる後押しが必要との意見が散見されます。国としてのリーダーシップを発揮せずに、押し付けるだけの現状に自治体の不満は高まるばかり。

l  日本経済新聞が行った外国人住民の受け入れ体制調査でも、主要市区の間で施策の実施状況に格差があることが浮き彫りになりました。外国人住民の増加に伴い、地域で起きていることを聞いたところ、「日本人住民からの苦情が増えた」(12%)という声が散見されたほか、「財政負担が増えた」(9%)が「税収が増えた」(4%)を上回っています。

l  法務省は、目玉政策である「外国人向け一元的相談窓口」に関する交付金の公募を3月15日に一旦締め切りましたが、申請は対象となる自治体の3分の1に過ぎず、交付決定額も予算の3割に留まりました。前途多難です。

【Timely Report】Vol.422(2019.6.7号)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

BLOG記事
アベノミクスには期待できない!」も参考になります。

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l  「特定技能」による外国人労働者の受入拡大が打ち出される3ヶ月前、70人を超える自民党有志の議員が参加し、「地域の農林水産業振興促進議員連盟」が発足しました。会長に就任した竹下亘・自民党総務会長は、その時点ですでに、「農業の将来を考えると、移民政策も含めて国会でも議論し、国民のコンセンサスを確立する必要があります。今は実習生として受け入れていますが、このままでいいのか。放置しておくと不法就労が増えます。外国人ゼロではもう農業はやっていけません」と断言していました。

l  「移民」を「有効なビザを保有し、90日以上在留予定の外国人」と定義すれば、39万人が流入した日本(2015年)は、ドイツ(202万人)、米国(105万人)、英国(48万人)に次ぐ世界4位の「移民大国」。移民に寛容なイメージのあるスペイン(29万人)・カナダ(27万人)・オーストラリア(22万人)よりも多く、排斥に傾くイタリア(25万人)を遥かに上回っています。

l  「移民」と呼ぶか呼ばないかにかかわらず、外国人が数多く在留していることは事実。この事実を直視して適切に対応しないと、後顧に憂いを残します。
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【Timely Report】Vol.208(2018.7.23)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

BLOG記事「日本の難民政策をKKKが讃える?」も参考になります。

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