外国人経済研究所

外国人と経済の関係を解き明かしていきます。

2021年07月

8月28日、茂木外務大臣は定例記者会見で、新型コロナウイルス感染拡大防止策として実施していた在留外国人の入国制限に『科学的な合理性』があるかと尋ねた外国人記者に「What do you mean by scientific?」と英語で聞き直した。「日本語でいいです。ばかにしなくても大丈夫です」と抗議した記者に対し、茂木氏は「ばかにしてないです」「日本語、分かっていただけましたか」などと応じ、「差別的ではないか」との批判が出ています。

l  個人的には、「茂木大臣は大人げないなぁ」と思う一方で、入管行政に対して「科学的な合理性」を求める人たちに対しても、「それって、期待しすぎでしょ」とツッコミたくなります。というのは、個別審査の現状を見れば、個々の入国審査官の裁量が大きすぎて、科学的な合理性どころか、ガイドラインとの合理性や整合性すら期待できないのが実態だからです。【p5~p10】

l  その意味では、茂木大臣が最後に放った「出入国管理の問題ですから、出入国管理庁にお尋ねください。お分かりいただけましたか。日本語、分かっていただけましたか」という発言は、簡にして要を得たものだと言えるかも。

【Timely Report】Vol.719(2020.9.7号)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

BLOG記事「製造業派遣は実刑になるのか?」も参考になります。

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l  相変わらず、技能実習に対する批判が根強い。支援者や弁護士たちは、被害者である技能実習生をマスコミの前に突き出し、可哀そうな事例を挙げては、「技能実習」という制度を批判し、すぐに撤廃すべきだと叫ぶ。

l  しかし不思議なのは、批判者たちが「技能実習機構」を活用しようとしないという点だ。「技能実習機構」は、技能実習法によって、「技能実習生からの相談に応じ、必要な情報の提供、助言その他の援助を行う業務」や「技能実習生が引き続き技能実習を行うことができるよう、技能実習生からの相談に応じ、必要な情報の提供、助言その他の援助を行うとともに、実習実施者、監理団体その他関係者に対する必要な指導及び助言を行う業務」を担うことが定められている。事実関係の調査や報告徴求や検査を行うこともできる。

l  さらに言えば、「技能実習機構」には「評議員会」という組織があり、「労働者を代表する評議員」も指名されている。技能実習機構や評議員に対して、被害者の救済を陳情し、彼らが陳情に対応しなかったことを批判するのが先だ。マスコミへのアピールを繰り返しても、被害者の救済にはつながらない。

【Timely Report】Vol.7492020.11.16号)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

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l  「外国人を受け入れるか否か」という問いの裏側には、「日本人とは何か?」という難題が存在します。「外国人(=外国国籍)は受け入れない」という主張は、「日本人(=日本国籍)は受け入れる」ことを含意し、「日本人」と認定されたら、受け入れることになるからです。

l  この点で、テニスの大坂なおみ選手の「二重国籍」や白鵬の「帰化」は、重要な争点を提供します。国籍法は、「二重国籍」を認めず(ただし罰則なし)、①5年以上日本に住所を有する、②20歳以上、③素行が善良である、④生計を営む能力がある、⑤破壊行為に従事したことがない、という条件を満たした場合、「帰化」の対象になり得るとしていますから、実質的な審査基準はともかくとして、表面的には、それほどハードルは高くありません。

l  外国人受け入れに断固反対するのなら、「二重国籍不可」「帰化撤廃」という論理になるはず。その場合、大阪なおみ選手も白鵬も受け入れることはできません。「日本に貢献しているから可」とするのなら、他の貢献する外国人にも門戸を開くべきということになります。どちらを選ぶべきでしょうか。
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【Timely Report】Vol.434(2019.6.25号)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

BLOG記事
大坂なおみと二重国籍問題」も参考になります。

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l  7月に入り、東京オリンピックの開催が差し迫ってきたあたりから、外国人による犯罪を報道するマスコミが目立ち始めました。五輪関係者による薬物使用や性的暴行などをセンセーショナルに取り上げる報道が増えています、

l  五輪関係者は「プレーブック」で行動が制限されているという建前になっていますが、路上飲みして騒いだり、散歩や買い物に出掛ける外国人の姿が目撃されているとしてやんわりと非難。オリンピックで来日する53,000人全員を監視することなど「どだい無理な話」として、「外国人が日本でやりたい放題だ」というイメージを打ち出す記事が散見されます。

l  東京オリンピックの開催中は、マスコミも金メダルの報道で忙しく、外国人犯罪はそれほど話題にならないでしょうが、心配なのはオリンピックの後。メダルラッシュでナショナリズムが高揚する一方で、企業経営の不振が続き、日本人の失業問題が表面化していきます。そんな中、外国人問題が犯罪などと絡めて議論されると、日本国内の雰囲気は排斥論に傾いていく惧れが高くなります。マスコミ主導による今後の世論形成に十分に留意すべきです。

Timely ReportVol.8312021.7.27号)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

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  厚生労働省政務官の上野宏史衆議院議員が、人材派遣会社「ネオキャリア」が申請する外国人労働者の在留資格を巡り、法務省に口利きして、その見返りに金銭を求めていたというスキャンダルが発覚。本日、上野宏史衆議院議員が政務官を辞任したとが報じられました。。

l  非難の矛先は上野議員に向かっているようですが、「斡旋利得罪」の適用は、かなり難しいと思われます。というのは、政治家からの要望があったとしても、法務省官僚は「適切に処理しておきます」と言うだけで、現場にその指示を実際に下すことはないでしょうし、入管実務の実態としても、上から言われたからと言って、現場が早く処理することは考え難いからです。いずれにせよ、法務省官僚は、「政務官からは、法律に基づいて適切に処理するように依頼はあったが、特別な対処をお願いされたことはない」と答えるだけでしょうから、それ以上の追及は困難です

l その一方、入管法の観点から見ると、問題がありそうなのは「ネオキャリア」です。もしも、報道された内容が正しいとするならば、全国の飲食店やドラッグストアなどに派遣する外国人187名について、在留資格「技術・人文知識・国際業務」を取得できるように上野政務官に依頼していたのではないかという疑いが残るからです。仮に上野政務官に依頼していたとしても、先ほど述べたように、「斡旋利得罪」という線を立証することはかなり困難だと思われますが、問題はそこではなくて、在留資格「技術・人文知識・国際業務」で自社の社員として許可された外国人を、飲食店やドラッグストアに派遣していたのではないかという疑いのほうです。

l   外国人観光客が対象の免税店への派遣であればともかくとして、飲食店やドラッグストアに、「技術・人文知識・国際業務」の外国人を派遣していたとすれば、かなりの高い確率で入管法違反に相当します。雇用した飲食店が、自分の店舗で「現場研修」として業務に就かせることは合法ですが、派遣社員が飲食店で就業する場合、「研修計画」などが事前に整備されて、復帰期限が明示されており、本人に対して明確に通知されていない場合、違法である可能性が極めて高くなります。つまり、これは、「ネオキャリア」の関係者が不法就労助長罪で検挙されてもおかしくない大事件なのです。マスコミは、上野政務官の斡旋利得に喰い付いているようですが、本当の意味で問題なのは「ネオキャリア」の不法就労助長罪なのです。

l  しかも、報道に対してネオキャリアは、人材派遣会社は、“口利き”について、『依頼した事実はない』と取材に回答」(テレ朝)とか「人材派遣会社は、『口利きの依頼、金銭のやりとりはない』と否定」(TBS)などと、全面的に否定しています。しかし、週刊文春は、「上野事務所にはネオ社から在留資格申請中の外国人187人分のリストが送付されており、それに基づいて法務省に問い合わせを行っていたことも判明した」と明言していますから、明らかな矛盾があります。この事件は今後の展開から目が離せません。



BLOG記事「入管法違反:政治家の口利きでビザを許可する?」も参考になります。

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