外国人経済研究所

外国人と経済の関係を解き明かしていきます。

2020年10月

l  10月19日、法務省は、帰国が困難な外国人留学生などに対して、卒業の有無や時期を問わずに、在留資格を「特定活動(6ヶ月)」の対象とすると発表しました。今までは、新型コロナウイルス感染拡大の影響もあり、大学や専門学校等を卒業したものの、帰国が困難な外国人留学生に関しては、「特定活動(6ヶ月)」を許可していました。今回法務省は、外国人留学生の帰国が困難な状況がこれからも続くことを考慮し、留学生の卒業の有無や時期を問わずに「特定活動(6ヶ月)」の対象とすることとしたのです。

l  今春に「特定活動(6ヶ月)」をもらった人たちの在留期限が迫っていたので、発表を聴いて安堵した留学生も少なくないと思います。しかも、今回は、除籍・退学となった場合も対象となるという気前の良さ。

l  とはいえ、就職の道は狭い。大卒内定者の数が前年より1割以上削減される中、内定取消も散見されます。来春卒業する留学生の内定率は、現時点でも2割に届かないなど、厳しい現状が短期間で好転するとは思われません。とにかく早く内定を獲得して、就労ビザへの変更を申請することが望まれます。

【Timely Report】Vol.742(2020.10.30)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

BLOG記事
専門学校は慎重に選びましょう!」も参考になります。

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l  2019年に入管が「不法入国の疑いがある」と判断し、日本への上陸を拒否した外国人が1万647人に上りました。7年連続の増加で、前年より16.0%増えました。不法就労目的なのに観光や親族訪問と偽って申請するなど、「入国目的に疑いがある」とされた人が8,890人で83.5%を占めたといいます。

l  ただ、自民党が年初に、新型コロナウィルス感染者の入国拒否を求めたとき、入管は「現状では、入国を制限する法律の根拠がない」と回答。政令改正によって、法的に入管法第5条第1項第1号(感染症の患者等)に該当した後でも、「感染が分かった場合は入国拒否できるが、武漢を経由するなど疑わしい場合は拒否できない」と説明しました。実際、入管は、「法的根拠がない」として最後まで第1号の適用を拒み、首相官邸が同項14号(日本国の利益または公安を害する行為)を適用することで押し切った経緯があります。

l  入国するときに、「不法就労のために来ました」と認めた外国人はいないでしょうから、入管は「疑い」だけで、入国を拒否したはず。感染症でも同様の対応ができなかったはずがありません。本当に不可思議です。

【Timely Report】Vol.7412020.10.28より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

BLOG記事「入管法違反:またまた派遣会社が摘発される!」も参考になります。

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2019年にノーベル経済学賞を受賞した米MITのアビジット・バナジー教授は、「人は移民に対してネガティブな印象を抱く。だが、移民が来ることで得られる様々なメリットについては考えようとしない」と指摘します。米国では、「移民がより安い賃金で仕事を請け負う結果として、米国民の賃金が押し下げられる可能性」に関する研究が盛んなのですが、米国民の賃金に対してマイナス影響が生じるという明白な結果は出ていません。

l  1960年代、メキシコからカリフォルニアへの移民を禁じる法律が制定されたとき、移民に代わって農場でフルーツを摘む米国人はいませんでした。そこにいた労働者の賃金も雇用も増えませんでした。農園主は、機械化の難しい作物を機械化しやすい作物へと転換し、作業の機械化が進んだだけでした。

l  バナジー教授は、「移民は、現地の人の嫌がる仕事に携わってくれるし、生産性は高まり、あらゆる需要を増やす」と説きますが、日本で、彼の主張に耳を傾ける人は少ないでしょう。来春にかけて失業問題が浮上してきたときに、冷静な議論が展開されることを期待することは難しいかもしれません。

【Timely Report】Vol.510(2019.10.16号)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

BLOG記事「
不法滞在幇助罪で逆転勝訴!」も参考になります。

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l  自民党は、「介護に従事する外国人」について、現行ルールの再検討を始めました。本来であれば、専門学校等に通って資格を目指す「養成校ルート」に関しては、2022年度から介護福祉士の合格を義務付けるのが既定路線だったのですが、関係団体から義務付けの延期を求める声が相次いだことから、「今後も引き続き議論を深めていく」として延期に含みを持たせました。

l  そもそも養成校では日本人学生が激減して死にそうだったところ、外国人留学生で延命しており、2019年度の留学生は2037人。前年度(1142人)のほぼ倍で、全体に占める割合も29.2%に達しました。「介護」の「技能実習」や「特定技能」が不振の中で、人手不足に悩んでいる現場は悲鳴を上げていますから、特別に国家試験を免除して、養成校の卒業生に在留資格を認めている「抜け道」を防がれると、不合格が頻発して大問題になり得ます。

l  「介護」については、本件だけでなく、日本語試験のレベルや特定技能への移行に関しても特別な配慮が施されました。このままだとズルズルと緩和していくことになりますが、果たしてそれでよいのでしょうか。

【Timely Report】Vol.585(2020.2.6号)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

BLOG記事「在留資格:日本語能力は高いほどよい?」も参考になります。

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l  在留カードの偽造が蔓延しています。10月22日に送検された事件では、SNSを通じ中国にいる指示役から連絡を受けて在留カードを製造した中国人が不法滞在しているベトナム人などに1枚5,000円で販売していました。初期に3~5万円していた偽造カードの価格は、近年1~2万円に下がっていましたが、いまでは5,000円の安値にまで落ちているようです。

l  本物の在留カードには、カードを傾けるとMOJ(法務省)の文字の周囲の絵柄がピンクから緑に変わったり、黒白が反転するといった仕掛けや左右に動くホログラムが浮き出る仕様が施されていますが、正直言って出来が悪い。入管のホームページで在留カード番号を入力すると、カードの有効性を確認することは一応できますが、それもクリアする偽造カードも出回っています。

l  偽造は年々精巧になっており、一般人が一見で偽物と見抜くのは不可能。偽造カードの作成に数十万円かかるのであれば被害も少ないのでしょうが、原価は数百円程度とみられ、ICチップの中身を読み込む機器を広く提供するなどの対策がなければ、根絶は困難。入管のスマホアプリ開発が待たれます。


【Timely Report】Vol.7402020.10.26より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

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