外国人経済研究所

外国人と経済の関係を解き明かしていきます。

2020年03月

l  3月19日、技能実習先から失踪したベトナム人を違法に働かせたとして人材派遣会社社長らが逮捕された事件で、ベトナム人が派遣されていた化学薬品会社の社長と役員、法人としての同社が入管法違反(不法就労助長)の疑いで書類送検されました。2019年8~11月、技能実習先から失踪し、在留期限が切れるなどしたベトナム人4人を工場で働かせた疑いです。

l  外国人派遣における不法就労の実態を見れば、派遣先企業の関係者が頻繁に逮捕されてもおかしくはないのですが、摘発に至る事件は多くありません。今回の場合は、人材派遣会社が「グレー(就労資格がない人物)を派遣する。グレーを使うのはどこでもやっている」と勧めたという事実があり、社長が「日本人の採用が集まりにくく人材確保に困っていた」と自供したようです。

l  摘発された派遣先企業の関係者は、ある意味で素直な人たち。多くの派遣先は、知らぬ存ぜぬを貫くために、グレーな派遣だと気づいていても、敢えて在留カードを確認せず、派遣会社に責任を押し付ける確信犯。今後は、派遣企業に責任を押し付けている派遣先が摘発されるか否かがポイントです。

【Timely Report】Vol.654(2020.5.20号)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

  BLOG記事「入管法違反:外国人派遣は派遣会社が悪い?」も参考になります。
異論・反論大歓迎ですので、是非、下記のコメント欄に、コメントをお寄せください。

外国人と経済の関係に興味のある方は ➡ 外国人経済研究所 へ http://nfeakeizai.blog.jp/
移民に関する国際情勢を知りたい方は ➡ 移民総研 へ 
http://nfeaimin.blog.jp/

l  ソフトバンクグループの孫正義社長兼会長は、「日本はAI後進国になってしまった」と憂い、ユニクロを率いるファーストリテイリングの柳井正会長兼社長は、「平成の30年は『経済敗戦』だった」と嘆いています。ワタミを創業した渡邉美樹氏も「今の日本は何かがおかしい」と認め、「日本はもはや後進国であると認める勇気を持とう」と開き直る経済評論家も出てきました。

l  日本の労働生産性は先進国の中では最下位となっており、世界競争力ランキングは30位と1997年以降では最低となっています。「外国人が働きたい国ランキング」でも33カ国中32位の体たらく。経済規模自体も何とか現状維持を続けているだけで、他国の成長速度に及ばないため、シェアで見れば、縮小の一途を辿っています。客観的に見れば、「日本は経済大国なんだ」と「上から目線」では語れないのが実態になっているのです。

l  ところが、未だに「上から目線」から脱しきれない人たちが少なからずいます。「門戸を開けば、優秀な外国人がいくらでも来日する」という頓珍漢な考え方がその類。「もはや経済大国ではない」という謙虚な姿勢が必要です。

【Timely Report】Vol.546(2019.12.5号)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

BLOG記事「入管行政:一流の外国人は日本に来ない?」も参考になります。


外国人と経済の関係に興味のある方は ➡ 外国人経済研究所 へ
移民に関する国際情勢を知りたい方は ➡ 移民総研 へ

l  マスコミでは、未だに「ビザを緩めたら外国人がどんどんやってくる」という前提で議論している識者がいて面食らうときがあります。確かに、今のところ、東南アジアの労働者にとって、日本は「稼げる国」の代表格。2015年時点では、日本の平均月給は33万円で、中国の3倍以上、ベトナムとフィリピンの約13倍でした。しかし、その格差は縮小する一方であり、中国・韓国・台湾は「人材輸入」の競合国に台頭してきています。

l  建設業では、外国人なしでは現場が回らないにもかかわらず、待遇が改善されません。ほとんど休めないのに技能実習生の平均月収は17万円未満。かつて大多数を占めていた中国人たちは、日本を選ばなくなりました。介護業界でも、月給14万円に過ぎない例があるなど、「日本より中国のほうが待遇がいい」という声が出ています。「安くこき使って搾取して期限が来たら追い返す国」と「人として受け入れて共生を目指す国」のどちらが選ばれるかは明白。人道上という話ではなく、日本社会や日本企業が外国人の「労働力」を必要とするのであれば、「人」として受け入れるしか道はないのです。
歩行者, 人, 忙しい, 運動, 非常に忙しい, 大阪, 市, 日本, 通り
【Timely Report】Vol.246(2018.9.13)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

外国人と入管の関係に興味のある方は ➡ 全国外国人雇用協会 へ
移民に関する国際情勢を知りたい方は ➡ 移民総研 へ

l  9月の日銀短観で大企業の業況判断指数が悪化しました。製造業は3期連続の悪化でリーマン・ショックの影響が響いた2009年3月(6期連続)以来の低迷。非製造業も、訪日外国人客の減少が響き、2年ぶりに悪化に転じました。無論、楽観的に見れば、日米の貿易摩擦はひとまず小康状態。原材料高は世界景気の好調による需給逼迫の反映と見れば、「凶」ではありません。台風や地震による悪影響も一過性でしょうから、円安が進めばプラス面が多く、「心配する必要はない」という見方もできます。実際、市場では2012年12月から6年近くに及ぶ景気拡大が当面続き、来年1月に戦後最長となるとの予測が大勢で、株価も年初来の高値圏内にあります。

l  しかし、意識調査結果において「子供の将来を楽観視している」と回答した日本の親が28%(平均60%)と調査対象29ヶ国中最低を記録したことに示されているように、「明るい日本の将来が描けない」ために内需が盛り上がりません。内需が弱いので景気拡大の強い循環が起動しないのです。2020年を待たずに景気が後退するという懸念が杞憂に終わればよいのですが・・・。
オリンピア, オリンピック大会, オリンピック, 競争, スポーツ, 陸上競技
【Timely Report】Vol.263(2018.10.9)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

外国人と入管の関係に興味のある方は ➡ 全国外国人雇用協会 へ
移民に関する国際情勢を知りたい方は ➡ 移民総研 へ

l  611日、安倍政権は、「経済財政運営の基本方針(骨太の方針)」の素案を公表し、今年10月に消費税率を10%に引き上げると明記しました。自民党も、同じ内容を参院選のマニフェストに書き込みましたから、一時期盛り上がりを見せた「消費税増税延期策」の可能性は極めて低くなりました。

l  景気の足元は極めて弱く、税率引き上げ時に通常見られるはずの「駆け込み需要」すら見られないのではないかという雰囲気が漂い始めました。誤った経済政策の効果により、倒産件数も着実に増加してきました。

l  アベノミクスは、結局のところ、①物価を上げれば景気は良くなる、②労働時間を短縮すれば生産性は向上する、③最低賃金を上げれば生産性が上がる、という3つの誤った思い込みで成り立っている「邪教」にすぎませんでした。だから、日本経済が健全な成長過程に戻ることはなかったのです。その上に、消費税増税をすれば、景気の腰折れでは済まず、不況を招きかねません。このまま、消費税増税を強行すれば、類似の経済政策で大失敗した韓国に学ばなかった愚かな政権として、歴史に名を刻むことになるでしょう。残念です。

【Timely Report】Vol.465(2019.8.8号)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

外国人と入管の関係に興味のある方は ➡ 全国外国人雇用協会 へ
移民に関する国際情勢を知りたい方は ➡ 移民総研 へ

↑このページのトップヘ