外国人経済研究所

外国人と経済の関係を解き明かしていきます。

2019年12月

l  尖閣諸島周辺(沖縄県石垣市)では、中国による領海侵入が頻発しています。2018年では70隻が確認されましたが、2019年は既に100隻を超えています。領有権を主張する団体による不法上陸も散見され、2004年3月と2012年8月にそれぞれ7人が入管法違反(不法上陸)で逮捕されています。

l  これに対し、警察庁は、離島警備を担当する専従部隊を創設する方針です。漁民に偽装した武装集団が離島に上陸する事態を想定し、自動小銃等を装備した隊員を配備する予定です。沖縄県警では機動隊員が海保の巡視船に同乗して警戒に当たってきましたが、今後は、事案の発生に応じて、大型ヘリコプターで沖縄本島から移動して対応に当たる態勢を整えます。

l  一方、2400人規模の水陸機動団を新設した自衛隊では、離島防衛を想定した大規模な水陸両用作戦訓練を実施(1500人参加)。沖縄本島と与那国島に加え、奄美大島と宮古島にも駐屯地を開設しました。警備隊やミサイル部隊を常駐させる方針です。問題は離島に止まりません。本土への北朝鮮船の漂着も相次いでいます。入管でも、緊急事態における対応が求められています。

【Timely Report】Vol.606(2020.3.6号)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

BLOG記事「入管行政:移民の入国を防ぐことは難しい」も参考になります。

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l  「日本において、移民の社会的統合が緩やかに進みつつある」と主張する研究者がいます。移民(=在留外国人)の社会的統合を検証する場合、最も重なのは、労働市場における統合であり、移民労働者がホスト社会の労働市場において正当に評価されているか否かが重要として、まず、専門職に就く場合、移民は日本人よりも高い確率で専門職に就いていると指摘します。

l  その一方、管理職や事務職に就く場合、海外で取得した学歴や就労経験は、日本で取得されたものに比べて低い評価しか受けませんが、日本人と比べて年齢上昇による昇進確率の差が有意に低いわけでもないと主張します。つまり、日本企業に入ると、最終的な地位の差はあるものの、移民も日本人も関係なく、似たようなペースで昇進すると結論付けています。

l  「日本の労働市場が閉鎖的であるというイメージは極めて漠然としたものであって、スキルや職業といった観点から見ていくと、部分的に社会的統合が進んでいる部分も見られる」と説くのですが、移民に専門職が多いのは、在留資格の建付けに因る部分も大きいので、割り引いて考えるべきでしょう。

【Timely Report】Vol.605(2020.3.5号)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

BLOG記事「移民政策:「移民基本法」を議論すべきだ!」も参考になります。

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l  日本以上に激しく急速な少子高齢化が、今後中国に襲い掛かります。「一人っ子政策」の影響で、25歳以下の世代では女性が男性より3000万人も少ないという歪な人口構成になってしまい、出産適齢期の女性が激減しているので、出生数を伸ばしようがありません。出生率の低下と平均寿命の延長を背景に、世界各国で少子高齢化問題が浮上していますが、中国の場合、出産適齢期の女性が少ないので、高齢化のスピードが他国よりも遥かに速いのです。介護保険が整っていない中で、親2人を介護せざるを得ない独身男性が激増するため、何も手を打たなければ悲惨な未来が待っています。

l  2016年に、中国政府は「一人っ子政策」から「二人っ子政策」に転じましたが、出生率の上昇はわずかでした。年内に出生制限政策が撤廃されるとも噂されていますが、出産制限が完全に撤廃されても、若い女性が少なく、豊かになった中国で、出生率が大幅改善することは見込めません。したがって、近い将来、中国は「労働力」の「輸出国」から「輸入国」へと転じます。「門を開けば日本に来る」と高を括っていると、残念な結果に終わりそうです。
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【Timely Report】Vol.310(2018.12.14)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

BLOG記事「中国が移民管理局を設立!」も参考になります。

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l  2020年代半ばに開業が予定されているIR(統合型リゾート)を巡り、開発に向けた動きが本格化しています。地方自治体からの申請受付が1月から始まるほか、手続を定める省令案も公表されました。大阪が一歩リードする中で、北海道が誘致を見送るなど、今後の成り行きが注目されています。

l  IR自身の成否を疑問視する向きもありますが、より気になるのは、政府が舵取りする観光戦略が「箱物行政」化しつつあることです。実際、菅官房長官は、「世界レベルの高級ホテルを50カ所新設する」「長期滞在が楽しめるスノーリゾートを全国10か所整備する」等とぶち上げています。

l  「箱物行政」とは、庁舎・学校・公民館・博物館・テーマパークなどの無駄な公共施設の「建設」に重点を置く政策を意味します。施設や建造物の整備そのものが目的になり、大失敗した公共工事が日本全国に溢れました。元々は、コストのかからない観光ビザの緩和等から始まった観光戦略が、クルーズ港の整備を経て、本格的に「箱物」にシフトしてきた感があります。日本は、再び「箱物行政」の失敗を繰り返してしまうのでしょうか。

【Timely Report】Vol.601(2020.2.28号)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

BLOG記事「経済政策:消費税増税で景気が死ぬ?」も参考になります。

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l  平成時代、日本の国際的地位は一貫して低下しました。GDPの規模で言えば、当初、中国は取るに足らない存在でしたが、2010年に日本に追いつき、今では2倍近い規模になりました。日本の1人あたりのGDPは米国より高く、生活も豊かでしたが、あっという間に逆転され、かなり差がつきました。

l  ところが、未だに日本人は「日本は経済大国であり、日本人は優れている」という思い込みから抜け出せていません。残業の上限規制を導入し、GW10連休にしました。「働き方改革」ならぬ「働くな改革」が進行中です。そんな余裕が日本にあるのでしょうか。ハードワーキングでない日本人が、欧米やアジアの天才たちと伍していけるのでしょうか。現状のままでは、日本と世界の差はさらに開いていくことになると思います。

l  「水面を優雅に浮かぶ白鳥も水面下では必死に足をもがいている」という喩えは、事実に反しているという説が有力ですが、ビジネスにおいて、「同じ場所に留まるためには一生懸命に走らなければならない」というのは事実。実態を踏まえない「働くな改革」の戯言に乗せられてはいけないと思います。

【Timely Report】Vol.437(2019.6.28号)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

BLOG記事
留学ビザは締め上げられる?」も参考になります。

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