外国人経済研究所

外国人と経済の関係を解き明かしていきます。

2018年11月

l  女性の就業率は、過去最高の70%(8月)を記録し、就業者数も過去最多の2962万人に達しました。女性の失業率は、男性の2.5%を下回る2.3%。政府は、2022年度末までに子育て世代の女性(2544歳)の就業率を80.0%に高める目標を掲げていますが、この比率はすでに76.7%ですから、それほど余力はありません。つまり、女性の就労率が上がっても、人手不足問題は解消しません。しかも、女性の活用方法を見ると、非正規が主で、役員や管理職への登用は遅れています。女性取締役の比率は、日本の5.3%に対し、米国は21.7%で、ノルウェーは42.2%。日本は、男女平等の度合いを示す「ジェンダーギャップ指数」でも144ヶ国中114位(2017年)。

l  未曽有の人手不足の中、ほとんどの日本企業において、外国人の戦力化が求められます。しかし、同じ日本人の女性すら十分に活用できない企業が、外国人の能力を最大限に引き出せるか疑問です。例えば、グローバル企業でも外国人の社外取締役の比率は1.8%。現在、「ダイバーシティ・マネジメント」は言葉遊びにしか過ぎませんが、経営の現場で本当に必要な時代が来ます。
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【Timely Report】Vol.262(2018.10.5)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

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ダイバーシティ本番がくる!」も参考になります。

外国人と入管の関係に興味のある方は ➡ 全国外国人雇用協会 へ
移民に関する国際情勢を知りたい方は ➡ 移民総研 へ

l  5月の就業者数(6698万人)が、過去最高を更新しました。これまで最高だった19976月(6679万人)を21年ぶりに上回ったのです。この背景には、高齢者の就労があります。65歳以上で働いている人数は、1987年に300万人、1992年には400万人だったのですが、2006年に500万人を突破し、2017年は807万人に達しました。この5年間で211万人も増加し、就業者全体の12%を占めています(19754.6%)。

l  調子のよいマスコミは、「アラ古希正社員100万人時代へ 団塊が戦力」「高齢者が人手不足救う」「45歳以上は金の卵」などと持ち上げていますが、高齢者の就労拡大は、「同一労働同一賃金」ではない日本の労働市場の特殊性を浮かび上がらせます。「年功序列型賃金」や「昇格・昇給の不可逆性」という問題点を表面化させるだけでなく、「45歳以上の人に新しいスキルをマスターしてもらうことは不可能」とか「定年前と仕事内容も労働時間も同じなのに、月給が100万円から10万円になった」などの実態をクローズアップします。日本企業のマネジメントは、大変革を迫られることになります。
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【Timely Report】Vol.234(2018.8.28)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

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老人大国に未来はある?」も参考になります。

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l  2025年になると、医療費は現在の42.3兆円から57.8兆円へと膨らみ、健保組合の4分の1は解散の危機に。2030年代になると、3分の1が空き家になり、道路や橋、上下水道がボロボロに。2040年代、大学の倒産や統廃合が続出。大都市でも介護施設や介護サービスが不足していきます。2060年には高齢者が約4割。国民の8人に1人が認知症に。人口減は毎年100万人。和歌山県や北九州市の人口が毎年消えていきます。

l  日本企業はようやく既存事業の撤退や縮小を始めましたが、「技術をお金に変えることが下手」と揶揄され、その技術自身も、ロボット研究で論文が激減し、8割の研究者は「競争力が低下した」と回答。そんな状況下、10年後の「日本」について中学生や高校生に尋ねてみると6割超が「不安」。9割前後は、大人が「大変そう」「疲れている」と感じており、「楽しくなさそう」という感想が7割前後。6割弱は、「大人を尊敬できない」と答えました。

l  かつての「経済大国」は、「技術大国」でなくなりつつあり、「老人大国」に向かっている――この暗いイメージを払底しないと、経済は上向きません。
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【Timely Report】Vol.218(2018.8.6)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

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将来への不安を解消せよ!」も参考になります。

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l  韓国経済が疲弊しています。文在寅政権は、「所得主導成長論」を掲げて、「賃上げすれば景気は良くなる」という前提で経済政策を運営しました。2010年に4110ウォンだった最低賃金は2017年に6470ウォンになっていましたが、2018年に16.4%上昇(7530ウォン)させ、2019年にはさらに10.9%上昇させて8350ウォン(約835円)にすることを決定。その上、今年の71日からは労働時間の上限を、残業を含めて週52時間に短縮することを柱とした改正勤労基準法も施行。まるで安倍政権の「働き方改革」を先取りしたのではないかと思いたくなるほど酷似しています。【p11p21

l  この結果、韓国企業の経営は委縮・破綻しました。「所得主導成長論」が想定していた「賃金増消費増業績好転雇用増」というシナリオは実現せず、「賃金増雇用減消費減業績悪化」に陥ったからです。この現状を重く見た文在寅大統領は、119日に「所得主導成長論」を主導してきた経済担当高官の2人を更迭するに至りました。「生産性の向上がない賃金引き上げは経済成長にマイナスの影響を招く」という現実を直視すべきです。
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【Timely Report】Vol.295(2018.11.22)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

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賃上げで景気は良くなる?」も参考になります。

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l  外国人労働者の受入増に反対する論者たちは、自ら闘いのリングに上がることなく、お気楽な解説を垂れ流します。一部の大学教授たちは、「人口減少は生産性を向上させる」「国際競争力のない産業は淘汰させて、輸入で代替すればよい」などと主張。その主張が正しいとすれば、日本の大学は、国際競争力がない業界の代表格ですから、まずは大学を淘汰すべきでしょう。

l  テレワークで対処すべきと語る論説委員は、自ら指揮を執って革新的な新聞社になり、お手本を見せるべきです。新聞は「情報業」ですから、デジタル化に最適。ついでに、「夜討ち朝駆け」で知られる超過勤務は厳禁にすべきでしょう。多くの民間企業を「ブラック」として叩いてきたのですから。

l  人口減少と高齢化の最たる例示は、過疎の村々です。人口減少が善であり、人口増以外の対策で現状を改善できるのであれば、「過疎の村では人口減で生産性が上がっている」とか「過疎の村でも1人当たりのGDPは減らない」という具体的な事例を挙げるべき。そうでなければ、現場で日々「淘汰」と戦っている経営者たちを納得させることはできません。
ビルエル Kollmeier, 教授, 黒板, 物理学, 講師, 大学, 先生
【Timely Report】Vol.230(2018.8.22)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

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過疎の村は生産性が上がる?」も参考になります。

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