l  「観光業の振興」は、「アベノミクス」における数少ない成功例です。高めの数値目標を掲げて、観光ビザを緩和し、クルーズ船を誘致して、地方の観光資源に光を当てるとともに、ホテルの建設ラッシュで関連業界を潤しました。歴代の産業政策の中でも出色の出来栄えですし、この成功がなかったら、安倍政権は窮地に追い込まれていたかもしれません。

l  ただし、本当の試練はこれから。弊害が目立つ京都を筆頭に、「観光公害」や「オーバーツーリズム」という指摘が、全国各地で沸き起こっていますが、これらに対する観光庁の対策は、観光客のマナー対策やポスターによる広報、先進事例の紹介等に限定されており、効果など見込めないお粗末な代物。

l  他の産業であれば、関係者は、商品やサービスを購入する人に限られますが、観光業は異なります。目に見えて恩恵に与る人と比べれば、目に見える被害を受ける人は大多数に及びます。したがって、恩恵に与る人たちが、先手を打って、被害を受ける人たちに配慮した建設的な対策を示していかなければ、海外よりも先鋭的な形で、排外的な運動が巻き起こる危険性があります。

【Timely Report】Vol.487(2019.9.10号)
より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

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