l  「外国人」を巡る議論を大別すると、嫌いだから排斥するという「感情論」、人手不足だから必要という「算盤論」、かわいそうだから助けるべきという「人道論」の3つがあり、それぞれが相容れないところで論争しています。

l  ただし、冷徹に俯瞰すれば、日本経済を支えている製造業は、海外各国に販社や工場を構えて売り上げや利益を上げているわけであり、そこで働いているかなりの数の日本人は、現地では「外国人」です。また、その製造業の商品を買っていただいているお客さまは「外国人」です。また、日本人が依存しているエネルギーを輸入している先には「外国人」がおり、食卓を彩る各種の食材も「外国人」から購入しているものが数多くあります。

l  「外国人」との係わりを完全否定することはできません。その現実を直視した上で、「外国人」との距離の取り方を決め、どのようなスタンスと方法論で「外国人」とお付き合いするのかを議論すべきです。オール・オア・ナッシングの結論はあり得ません。その意味ではロシアやドイツのように、言語と法律と歴史でハードルを設けるというのは、ひとつの処方箋だと思います。